株式会社 善設計
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善設計日誌

耐震改修における助成金制度について


こんにちは。所員Tです。

今日は、耐震改修に関する助成金の制度について思うところを書きたいと思います。

これまでで東京都緊急輸送道路沿道建築物の耐震診断は、全体の約8割が完了し、
弊社でも、何物件かをやらせていただきました。

しかし、なかなかその後の耐震改修に至りません。
これは、弊社だけではなく全体的な傾向のようです。

このような事態を改善しようとしている?のか、
耐震改修に関する国からの助成金が少し増えました。(助成率を1/15 拡充)
しかし、もし耐震改修率を上げようとして助成金額を少額増やしたのなら、
方向性がずれているのではないかと思っています。

それよりも助成金を受けるための要件を広げたほうがいいのではないかと
私は考えています。

現在の制度では、全ての階のIs値が0.6以上
(建物の耐震性能を表した数値。一般的には0.6が満たすべき要件となる。)
に補強を施すことが助成金を受けるための要件になっています。

このIs値は、建物の危険度をあらわしたもので、数値が大きいほど
壊れる確率が低くなり、Is値0.6以上の建物は震度6強程度の大地震時でも
倒壊する可能性は低いと言われています。

それならば、0.6以上という数値が助成金を受けるための要件として
問題ないのでは?と思われるかもしれません。

しかし、実際の建物のIs値が予想以上に小さい場合はどうでしょうか。
例えば、Is値が0.2だった場合、0.6を満たすように耐震改修するのは
かなりの費用がかかります。

この場合、Is値0.6以上にするのは予算の関係で厳しいが、
少しでも安全性を確保したいとの理由で0.5程度まで改修したい
という方がいても不思議ではありません。

また、特定の階のみIs値が小さく、その他の階はIs値0.5程度だった場合は
どうでしょう。

この場合は、建物の最も弱点となる階のみとりあえず補強し、それから段階的に
他の階も改修したいという方もいると思うのです。

制度には、どこかで線引きが必要なことはわかります。
ただし、その杓子定規な線引きのせいで、本当は耐震改修したいと
思っている方の意欲を削いでしまっている可能性があるのではないか、
そんなことを考えています。


2014年7月 1日